たけろぐ

動物・植物メインのブログ.最近は日本の淡水魚ばっかり.

魚類学

【ゲンゲ科】ウロコゲンゲとオグロゲンゲとカムチャッカゲンゲ

Radchenko, O.A. 2017. Molekulyarnaya sistematika i filogeniya bel’dyugovidnykh ryb (Molecular Systematics and Phylogeny of Zoarcoidei Fishes). Moscow: GEOS, 384pp.

どうやら遺伝的にはウロコゲンゲとオグロゲンゲが姉妹群となり,2種合わせたものとカムチャッカゲンゲが姉妹群となるらしいです(Chapter 5).
この文献ではウロコゲンゲとオグロゲンゲの所属をウロコゲンゲ属Lycogrammoidesとし,カムチャッカゲンゲはカムチャッカゲンゲ属Bothrocarichthysとしています.

ウロコゲンゲ Lycogrammoides schmidti Soldatov & Lindberg, 1929
オグロゲンゲ Lycogrammoides nigrocaudatus (Suvorov, 1935)
カムチャッカゲンゲ Bothrocarichthys microcephalus Schmidt, 1938

カムチャッカゲンゲはオグロゲンゲ属Bothrocarinaのままではいられなさそうです.

【キュウリウオ科】カラフトシシャモの学名

Mecklenburg, C.W., Steinke, D. 2015. Ichthyofaunal baselines in the Pacific Arctic region and RUSALCA study area. Oceanography, 28(3): 158-189. DOI: 10.5670/oceanog.2015.64

カラフトシシャモ属は遺伝的に3種に分けられるようです.
そのうち日本を含む太平洋にはMallotus catervariusが分布し,Mallotus villosusMallotus sp.が大西洋に分布するとのことです.

つまり,カラフトシシャモの学名はMallotus catervarius (Pennant, 1784)になったということです.

【メジロザメ科】トガリアンコウザメの学名は?

こんにちは.

突然ですが,私が密かに更新を続けている「川のさかな情報館」をご存知でしょうか?
別に知らなくても良いです.
次回の更新(5月下旬予定)の準備をしていたら気づいたことがありました.

「川のさかな情報館」のトガリアンコウザメ属のページではトガリアンコウザメの学名をScoliodon macrorhynchosとしました.
その理由としてWhite et al. (2010)を挙げました.
(シノニムリストにJordan & Snyder (1901)の日本からの記録が含まれています)

scoliodon

それから約3年半たちまして,何か新知見がないかなと思ってトガリアンコウザメでググってみたわけです.
(スクショのページは次回更新されます)

そしたら,トガリアンコウザメの学名をS. macrorhynchosとしているのは,ぱっと見私のサイトだけでした.ガビーン.

よそのサイトでは従来通りトガリアンコウザメの学名をS. laticaudusとして,S. macrorhynchosにボルネオトガリアンコウザメという和名を付しているじゃあないですか!
(例えばこことか,こことか,こことか)

私は完全に異説派になっていました.なんででしょう?
私は何か重要な文献を読んでいない可能性があります.

今年出たChong Lim et al. (2022)を見ると,日本産は1種で,学名はやはりS. macrorhynchosでよさそうです.
(ただしこの論文では「日本からの記録は誤り」として分布域から日本を除外しています.S. macrorhynchosが日本に生息するかどうかはとりあえず置いておきます.)

となると,「トガリアンコウザメ」という和名がインド洋の種につけられており,日本産は「ボルネオトガリアンコウザメ」という和名になった可能性が考えられます.
私のデータベース内で最も古い,「トガリアンコウザメ」という和名が登場した文献は田中 (1921)「日本魚学上巻」で,「トガリアンコオザメ」が日本に生息する種として紹介されていました.(同時に「ヒロアンコウザメ」もありますがややこしくなるので割愛)
これ以前の文献で,インド洋の標本に対して「トガリアンコウザメ」という和名が付いたものがあれば納得できます.あればね.

そもそも「ボルネオトガリアンコウザメ」という和名が登場した文献がまだ特定できていません.その文献が読めればいろいろすっきりすると思うのですが…

ネットで調べてもわからないので誰かコメントたのまぁぁい!

【ヨウジウオ科】日本産オイランヨウジ属3番目の種


Stiller, J., Short, G., Hamilton, H., Saarman, N., Longo, S., Wainwright, P., Rouse, G.W. & Simison, W.B. 2022. Phylogenomic analysis of Syngnathidae reveals novel relationships, origins of endemic diversity and variable diversification rates. BMC Biology, 20: 75. DOI: 10.1186/s12915-022-01271-w

日本産オイランヨウジ属が1種増えました.

Dunckerocampus pessuliferus Fowler, 1938

この論文を見ると将来的に日本産ヨウジウオ科のいくつかの属名は変更されそうですが詳細は論文を見てください.

これで日本産オイランヨウジ属は以下の3種となります.
オイランヨウジ 写真
カスミオイランヨウジ 写真
Dunckerocampus pessuliferus 写真

【カミソリウオ科】ノコギリフウライウオの復活


Stiller, J., Short, G., Hamilton, H., Saarman, N., Longo, S., Wainwright, P., Rouse, G.W. & Simison, W.B. 2022. Phylogenomic analysis of Syngnathidae reveals novel relationships, origins of endemic diversity and variable diversification rates. BMC Biology, 20: 75. DOI: 10.1186/s12915-022-01271-w

カミソリウオSolenostomus cyanopterusの新参異名とされてきたノコギリフウライウオS. paegniusですが,どうやら別種とするのが妥当のようです.

ノコギリフウライウオS. paegniusのタイプ産地は日本なので,現在のところカミソリウオ属は4種(残りの2種はホソフウライウオ,ニシキフウライウオ)となります.
ただ,S. halimedaと思われるものが日本にいるらしいので種数は今後も変動しそうです.

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